親知らずについて

親知らずは第3大臼歯のことで、6歳臼歯の二本奥、前歯の中央から8本目の歯の事です。
顎の骨が十分発達していると、親知らずは正常に萌出し、きちんと食物を噛むことができます(必要な親知らず)。
昔の人はソース顔が多かったようです。

しかし、昔に比べ顎の骨が小さく、しょうゆ顔の現代人は、親知らずがきちんと萌えず、場合によっては骨の中に埋まってしまう場合が非常に多いのです。
この「骨に埋まった親知らず」は、さまざまな問題を引き起こすことがあります。

また、生えていても横をむいている親知らずは、物が詰まりやすく、その歯があるために周りの必要な歯まで虫歯にしてしまいます。

また、噛み合う相手のいない親知らずは、噛む相手を求めて伸びてくるため、噛み合わせのズレを引き起こします。

自分分自身の健康の為にも、このような親知らずがはえていると診断された場合には、決心がつくのであれば思い切って抜いてしまうことをお勧め致します。

口の中にまっすぐ生えている親知らずは、ほとんど一般開業医で簡単に抜くことが出来ます。

上顎(じょうがく/うわあごのこと)の埋伏歯(まいふくし/埋まっている歯のこと)を抜く場合、埋伏歯が上顎洞、(副鼻腔のひとつ・鼻とつながっている骨の中の空洞)に近接しているか、場合によっては中に存在している為、非常に熟練を要します。

熟練した口腔外科専門医でも、抜歯操作により、埋伏した親知らずが上顎洞の中や翼口蓋窩(よくこうがいか)に迷入する可能性があるといわれています。

上顎洞内にいったん迷入した埋伏歯は、後に自然に出てくることはありません。
埋伏歯は多くの場合上顎洞の中で感染源となり、上顎洞炎を引き起こすので、必ず取り出す必要があります。
上顎洞内迷入歯の摘出手術は、入院し全身麻酔をかける手術になります。

翼口蓋窩に迷入した親知らずも、放置すると感染源になり、蜂巣炎をひきおこすことがあるので、必ず取り出さなければなりません。
しかし、骨中ではなく静脈叢内であるため、摘出手術の際出血があり、摘出後顔がかなり腫れることになります。
翼口蓋窩に迷入した歯の摘出手術も、入院し全身麻酔をかけることになります。

埋伏した下顎の親知らずは、下顎管(かがくかん/下歯槽神経と動脈・静脈が入っている骨の中の管)に近接している場合が多く、熟練した口腔外科医でも抜歯操作により麻痺(下顎のほぼ半分が麻痺します)や出血、神経痛のような傷みを引き起こす可能性があります。
特に、レントゲンで見たときに、親知らずと下顎管が近い場合は要注意です。

埋伏した親知らずは手前の歯の根のくびれたところに引っかかっているので、二つに切って抜きますが、切るときに下額管を損傷する可能性があります。

レントゲン写真で親知らずと下顎管が仮に重なっていたとしても、実際には前後的に離れている場合が多く、特にレントゲン上で下顎管と歯槽硬線(しそうこうせん/歯のレントゲンで歯の根の周りに見える白い線)がはっきり写っている場合は、実際には重なっていない可能性が高いといわれています。

しかし、多分そうだろうとの予測のもとに抜歯を行うのは非常に危険なことです。
もしこのような歯を抜かれる場合は、大学病院などの口腔外科に行かれる事をお勧めしております。

「親知らずは生えているだけで怖い」というイメージが付きがちですが、まずは自己判断をせずに、歯科医にご相談下さい。
虫歯がなくまっすぐに生えている親知らずは、条件さえ整えばきちんと「物を噛む歯」の役目をしてくれるのですから・・・。